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網膜色素変性症(告示番号 90)

網膜色素変性症とは?

網膜色素変性症(もうまくしきそへんせいしょう)は、目の中の「網膜」という光を感じる部分の視細胞が徐々に害されていく病気です。

視細胞のうちのひとつである「杆体(かんたい)細胞」は、暗い所でのものの見え方や見える範囲に関係する細胞です。

網膜色素変性症はこの杆体細胞が最初に障害されることが多く、初期症状は「暗いところで見えにくい」「見える範囲が狭い」という状態になります。

進行性のため少しずつ視細胞が障害され、やがて失明に至ることも多く、厚生労働省が実施する調査では失明原因のトップ3に入る病気です。

進行のスピードは個人差があるため必ず失明するというわけではありませんが、根本的な治療法はなく難病指定とされています。

 

患者さんはどのくらいいるの?

日本では27000人ほどが網膜色素変性症を患っており、これは3000人〜5000人に1人の割合で患者さんがいることになります。

例えば人口30万人の秋田市では約100人の患者がいるという計算になり、知名度は高い病気と言えるでしょう。

 

原因は?

遺伝子の異常と言われています。

以前は原因となる遺伝子の一部のみしか判明していませんでしたが、現在は数種類の遺伝子が解明されています。

 

どんな人に多いの?

20代から40代に多いです。若くても発病する場合もあります。

 

遺伝するの?

50%の人は明らかに遺伝しての発症です。残りの50%も何らかの遺伝子が関係していると考えられています。

 

どんな症状が出るの?

視細胞のうちの杆体細胞が害されることで暗いところで目が見えなくなる(夜盲)が初期症状として起こります。しかし、最近は夜の街も明るく、変化に気づかない人も多いようです。次に、視野が狭くなる(視野狭窄(きょうさく))が起こります。車の運転に支障が出たり、人とぶつかりやすくなってきて気づく人が多いです。

病気が進行するともうひとつの視細胞である錐体(すいたい)細胞が害されることもあります。錐体細胞は主に視力や色覚などに関係する細胞です。錐体細胞が害されるとはっきりしていない印刷物が読みにくくなったり、少しの光でも眩しく感じてしまう羞明(しゅうめい)になったり、全体が白っぽく見えたりと視力の低下や色覚異常が見られます。

杆体細胞が最初で、次が錐体細胞と言いましたが、進行の仕方は人それぞれですのでこの逆の場合もあります。

 

診断はどうするの?

自覚症状や家族の病歴などの問診から様々な検査をして診断されます。

 

○視力検査

視力低下してくるのは進行してからですので網膜色素変性症の場合、初期は良好のことが多いです。

 

○眼底検査

 

網膜や視神経乳頭を検査します。網膜色素変性症は網膜部分に黒い色素が沈着していることが多いです。網膜の動脈が細かったり、視神経の萎縮(いしゅく)なども確認されます。

 

○暗順応検査

 

暗いところでどのぐらい見えるか夜盲の程度を調べるます。網膜色素変性症かどうかの診断の際に行われます。

 

○網膜電図

 

網膜が光を受けたときに発生する電気的応答(電位)を調べる検査です。網膜色素変性症の方は、発病後早くから電位が低下または消失するようです。

 

○視野検査

 

視野狭窄がどのぐらいかを調べる検査です。病気の進行レベルを把握するために重要な検査なので、発病後も1年に1~2回程度の頻度で行われます。動的視野計といって、一点を見つめ、周囲の目印となるものを動かして視野の限界を調べる方法と、静的視野計といって目印の明るさを変えて認識できた中で1番小さい明るさを調べ、網膜各部の感度を計測する方法の2つがあります。より正確な進行状態の把握ができるのは静的視野計です。

 

○OCT検査

 

OCT(光干渉断層計)という器械で眼底(網膜部分)の断面像を詳しく調べる方法です。視力低下に関係する黄斑の変化を見ることができます。検査は短時間で行うことができ、患者さんに負担がかからないので近年普及している検査です。

 

治療はどうするの?

進行を止める薬や、網膜の機能が回復する治療法は今はまだありません。対処療法として症状を軽くする治療や病気の進行を遅らせる治療法はあります。

○治療薬

明暗の感受性を維持する作用があるビタミンA製剤や、暗順応改善薬、神経細胞への血流の障害を改善する循環改善薬、ビタミン剤などが処方されます。

○薬以外

まぶしさの要因となってしまう波長の光をカットする遮光眼鏡も有効です。文字のコントラストがはっきり見えやすくなるという効果もあります。他には文字を読みやすくするための拡大鏡や本のページをテレビ画面に映し出す拡大読書器といった補助器具なども場合により使用します。

○併発しやすい白内障・緑内障の治療

網膜色素変性症の患者さんは、白内障や緑内障を併発しやすくなります。どちらも治療手段が確立されているため、治療可能です。これらの病気が視力低下や視野狭窄に影響している場合には、治療によって視力が改善するなどの効果が期待できます。

 

経過はどうなるの?

回復することはありませんが普段の行いを気をつけるだけで病気の進行を遅らせることが可能です。生活する上で強い光を避けます。屋内作業での仕事を選んだり、屋外ではサングラスをかけるように心がけます。強い光を避けることで視神経をいたわることになり、病気の進行を遅らせることができると期待されます。

最終的に失明すると思われがちですが発症後40年たってもだいたいの患者さんは光を感じることができます。できるだけ光を感じる期間を長くするには早期発見が不可欠です。低視力の人が残った視力を利用してよりよく快適に過ごすことができるようにロービジョンケアという援助や指導も整備されてきています。公的な補助などを積極的に受けて発症後の人生を楽しむことも大切です。

 

最後に

 

<参考文献>
ガイドライン 網膜色素変性診療ガイドライン
研究グループ 網膜脈絡膜・視神経萎縮症に関する調査研究班

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