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原発性胆汁性胆管炎(告示番号 93)

原発性胆汁性胆管炎とは?

「人体の工場」と言われるほど様々な働きをする肝臓の仕事のうちの一つに消化液・胆汁をつくるというものがあります。胆汁は脂肪の消化吸収に重要な役割を果たすとても大切な消化液です。肝細胞で作られ胆管を通り十二指腸に流れていきます。この胆管で炎症が起きて胆汁が通りにくくなってしまうのが原発性胆汁性胆管炎です。

「原発性」とは原因となる病気がないことです。

原因がないのに、胆管に炎症が起こってしまうのです。

 

患者さんはどのくらいいるの?

国内には37,000人の患者さんがいます。年々増加傾向が見られます。が、軽症の患者が増えているだけで、重症患者が増えているわけではないのです。増加しているのは病気が周知されたり、検査による発見が増えたりしたからかもしれませんね。

 

原因は?

「原発性」ですので、特に原因が特定される病気ではありません。 今のところわかっているのは多くの難病指定の病気と同じく「免疫細胞の異常」です。 免疫細胞とは普段、自身の体を守るために外部から侵入したウイルスなどを攻撃するための細胞です。この免疫抑制剤に異常が起きることで、正常に働く体の一部を攻撃してしまいます。原発性胆汁胆管炎ではその攻撃対象が胆管だということです。

 

どんな人に多いの?

子どもが発症することはほとんどありません。中高年の女性に多い病気です。20代以降に発症し、50〜60歳頃が発症のピークと言われています。男女比は1:4で圧倒的に女性に多く見られます。

 

遺伝するの?

原発性胆汁胆管炎という病気自体は遺伝することはありません。ただ、家族内での発症率がある程度見られるため、なりやすい素質は遺伝すると考えられています。例えば癌だったり、糖尿病のようにです。原発性胆汁胆管炎に関係する遺伝子もいくつか見つかっています。

 

どんな症状が出るの?

軽症の場合、ほとんどの人は自覚症状はありません。30%程度ひどいかゆみを感じる人もいます。
気づかず病気が進行していくと、胆管が次々と破壊され胆管の流れが悪くなり、胆汁の中に含まれる成分が血液中に逆流します。このことで、全身に強いかゆみが出てきます。強い疲労感も伴います。食道・胃静脈瘤という合併症が確認されます。
胆汁が回らなくなることで、女性は骨粗鬆症になりやすくなったり、血中コレステロールが高くなり眼瞼黄色種(目の周りに脂肪が沈着する)ができたりします。
胆管だけでなく、肝細胞も破壊されて、徐々に肝硬変に進んでいきます。
肝臓の働きが弱くなると黄疸や浮腫(むくみ)、腹水、肝性脳症を発症して肝臓の働きが著しく低下してしまいます。そうなってしまうと肝移植を行わない限り助からない状態に陥ってしまうこともあるのです。肝臓の癌も一部の患者さんには見られます。
免疫細胞により、他の器官が破壊されることもあり、様々な合併症を起こす可能性があります。

 

診断はどうするの?

軽症の場合自覚症状がほぼないことから、ほとんどの患者さんは健康診断などで発覚します。

特徴的な診断基準は3つ。

○ALP、γ-GTPの上昇
肝臓内の胆汁の流れが滞ることで、胆道系酵素(ALP、γ-GTP)に上昇が見られます。さらに進行すると黄疸の指標基準であるビリルビン値の上昇が確認されます。

○血清IgM値
血清IgM値は90%以上の原発性胆汁胆管炎で高い値が見られます。

○抗ミトコンドリア抗体
自己抗体・抗ミトコンドリア抗体が約90%の確率で陽性となります。この病気の特徴的な抗体です。

他にもMRI検査や超音波検査、X線検査などを行い、胆管に問題があるかを調べ総合的に診断を下します。

 

治療はどうするの?

治療は大きく分けて原発性胆汁胆管炎そのものに対処するもの、かゆみなどの症状に対処するもの、肝硬変などに対処するものに分けられます。

○原発性胆汁胆管炎

病気の進行を抑え、胆汁の流れを促す薬ウルソデオキシコ-ル酸が処方されます。この薬は世界中で使われていて効果が現れれば運動制限などもなく日常生活を送ることができます。
ウルソデオキシコ-ル酸では効果が得られない場合、ベザフィブラートという薬が併用されることもあります。

○病気に併せて出てくる症状

ひどいかゆみには抗ヒスタミン剤が使用されます。最近は肝臓病で起こるかゆみに対する新しい薬の開発も進んでおり併用することで一定の効果が得られることがわかっています。
ビタミンDの吸収がうまくで出来ない、骨粗鬆症に対してはビスホスホネート製剤やデノスマブが使用されます。

○肝硬変

病気の症状が進み、肝臓自体が著しく機能低下してしまう肝硬変には、他の肝障害と同じ治療がなされます。内科的な治療で効果が得られない場合、最終手段として肝移植が選択肢として挙げられます。肝移植が無事に行われれば、健康的な生活をすることも可能です。移植についてはよく主治医と話し合うことが必要となります。

 

経過はどうなるの?

軽症の時期からウルソデオキシコール酸を服用することで、進行が抑えられ、健康的な日常生活を送ることが可能となります。ウルソデオキシコール酸で効果が得られない人にもベザフィブラートを併用することで重症化する患者さんは随分少なくなりました。
症状が出ないからと言って薬の服用を勝手に辞めたり、病院に行かなくなってしまうことは大変危険です。生涯にわたりつきあっていかなくてはいけない病気であることを理解し、通院を続けることで天寿を全うできる患者さんが多くいらっしゃるのです。

 

最後に

 

 

<参考文献>
ガイドライン 原発性胆汁性胆管炎(PBC) 診療ガイドライン(2017年)
研究グループ 難治性の肝・胆道疾患に関する調査研究班

 

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