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特発性大腿骨頭壊死症(告示番号 71)

特発性大腿骨頭壊死症とは?

歩いたり、体重を支えたりするのにとても大切な太ももの骨を大腿骨(だいたいこつ)と言います。その大腿骨の上の端についている丸い骨を大腿骨頭(だいたいこっとう)と言いますが、血流が悪化しその骨の一部が壊死(えし)してしまうのは特発性大腿骨頭壊死症という病気です。
ただ、骨壊死が起こったとしても日常生活にすぐ支障が出るわけではなく気づかない人も多いです。気づくのは骨壊死部分が圧によって潰されてしまうことによる痛みが出てからです。壊死部分が小さければ生涯気づかずに終わることもあります。飲酒量が原因の場合や、他の病気で受けた大量のステロイド剤が原因の場合もありますが、全く原因のない場合もあります。
詳しいメカニズムは未だ解明されておらず国で難病指定されています。

 

患者さんはどのくらいいるの?

全国に特発性大腿骨頭壊死症の患者さんは23,000人ほどいると推定されています。1年間で2,000人から3,000人の新規患者がいるようです。

 

原因は?

大量のアルコール(毎日日本酒でいう2合摂取)や、ステロイド関連(1日平均15mg程度服用)が危険因子とされていますが、なぜ病気に繋がるのかは解明されておらず、また何の危険因子もなく病気になる人もいます。

 

どんな人に多いの?

男性であればアルコール関連、女性であればステロイド関連であることが多いです。30代から50代に最も多く発症します。男女比は、1.8:1で男性に多いですが、ステロイド関連に限ると0.8:1と女性の方が多くなります。

 

遺伝するの?

遺伝するかどうかは今のところはっきりと分かっていません。予防や原因究明のため、遺伝子の研究が進められています。

 

どんな症状が出るの?

骨壊死が起こっててもその範囲が小さければ影響もなく症状はありません。太ももの付け根の部分ですので様々な圧がかかり、壊死した部分が潰れることにより痛みが生じます。発症から自覚症状までは数カ月の人もいれば、数年気づかないままの人もいます。
症状としては股関節の痛みです。慢性的に少しずつ痛みが出るというよりは急に痛くなることが多いです。その周りの部分である腰痛、膝痛、殿部痛から始まることもあります。初期は壊死部分が少なく、健康な部分から修復されて痛みも軽減することもありますが、治ったわけではないのでまた潰されて痛みが生じます。
歩く、立つ、など体重をかけることで大腿骨に力がかかる際に痛みを感じますが、安静にしていても痛みを感じ続けることもあります。痛みがあるのに我慢して放置していると変形性股関節症になってしまうこともあるので注意が必要です。

 

診断はどうするの?

進行して症状の部分が大きければ、X線検査で診断するこどできます。ところが、ごくわずかな潰れの場合、見えにくく診断できないこともあります。
早期に発見するにはMRI検査が必要になります。MRI検査では、壊死部分がどのぐらいかなども見ることができます。
他の部分の壊死も同時に調べたい場合は、骨シンチグラフィーと言い、放射線同位元素を注射して全身骨格を確認できる特殊なカメラで撮影することもあります。

 

治療はどうするの?

薬を飲むことでよくなるという病気ではありません。治療のほとんどは手術になります。
壊死部分が小さくこれからもそこまで痛みに繋がならないだろうという場合は、杖を使って体重をかけないようにしたり、重い物を持つことや長距離歩くことを規制したり、体重を維持するように生活指導を行います。
ただ、症状の進行が見られる場合、手術を選択肢に入れなければなりません。

手術方法は大きく3つに分かれます。年齢や壊死部分の範囲、潰れた部分がどのぐらいかで手術方法は異なります。医師と相談の上、最適なものを選びましょう。

○大腿骨内反骨切り術
大腿骨頭や頸部をくるっと内側に傾けさせることで、壊死部分に負荷がかからなくなります。これは壊死部分の範囲が小さく傾けた時に負荷がかかる部分からずれる場合に限ります。

○大腿骨頭回転骨切り術
大腿骨頚部軸を回転軸として大腿骨頭を前方わや後方に回転させることで負荷部分と壊死部分をずらします。同時に内側にも傾けることで負荷部分に当たる部分のうち健康な部分の割合が高くなります。

○人工関節置換術
圧迫され潰れた部分の範囲が広い場合や高齢者の場合、人工関節置換術がとられることがあります。人工骨頭や、人工股関節に置き換えることで体重をかけても大丈夫になります。入院期間も短くメリットが大きいのですが、人工物は一生使えるものではありません。20年ほどたてば将来再手術が必要になってきます。
ですので若者の場合は、人工関節置換術は最終的な手段としています。ただ、術後は良好で快適な生活を送ることができるため、若者であってもこの手術を積極的に受ける人も少なからずいるようです。

 

経過はどうなるの?

壊死部分が全身に拡がるといったことはなく、生涯かけて決まった部分にだけ壊死が起こります。ですので早期発見・早期治療を行えば健康的な日常生活を送ることができます。範囲が小さければ修復されてさらに範囲が小さくなることもあります。
さらに大腿骨頭に負担をかけないため、杖を使ったり、負荷のかかる運動などを制限します。他にも筋肉をつけたり柔軟性をつけることも効果的とされています。何より圧により潰される部分を増やさないことがとても重要です。

 

最後に

 

 

<参考文献>
ガイドライン 特発性大腿骨頭壊死症診療ガイドライン2019
研究グループ 特発性大腿骨頭壊死症の医療水準及び患者のQOL向上に関する大規模多施設研究班

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